祖父の介護をしています、週1看護師のはな(@hana8787hanae)です。
数日前に母から慌てたLINEが入りました。
じいちゃんが
急いで会いに行くと、先月とは全く違う祖父の姿…
寝たきりになっていました。
状態も危うそうな感じです。
腎臓が悪く、これ以上点滴で負荷をかけるわけにはいかない状況(そもそもすでに治療はしないって流れになってる)ので、
命をつなぐためには、口から食べてもらうしかありません。
なかなか口を開けない祖父を見ながら、これって美味しいのか?という疑問が湧いてきたので、母と実食してみることにしました!
やはり、物事は体験しないと分からないもの。
食べてみての発見がいろいろあったので、ブログを通して介護食を食べた感想をシェアしたいと思います。
看護・介護職の方、将来家族の介護をする可能性のある方だけでなく、健康な方にもぜひ読んでいただきたいです。
この記事を読めば、今、自分がどれだけ美味しいものを食べられているか実感するはず。
もくじ
この日の介護食・メニュー
この日のメニューはこちら!(右下から時計回り)
- すまし汁
- 牛しぐれ煮の卵あんかけ
- ごはん
- 高菜漬け
- 茄子と小エビの塩炒め
- お茶
実はメニューの内容は、食事を下げたあとにメニュー表をみて確認しました。
ぶっちゃけ、流動食を見ただけでは何なのか分かりませんでした。
牛しぐれの牛肉っぽさは全くないし、茄子とか小エビを感じる要素はありません。
形状が全て同じなら、匂いと色でしか食べ物を判断できません。
形のあるものを食べられるって幸せです。
それでは、これらを食べた率直な感想をお伝えします。
介護食流動食に美味しさを感じられなかった理由
結論から言うと、介護食はまずかったです。
まぁ見るからに美味しくはなさそうですが…
なぜ美味しさを感じられなかったか、まとめました。
1.何か分からないものを食べるって結構不安
私たちは、食事を食べる前にまず視覚からそれが食べ物だと認識します。
そして、そこから美味しそうだな。食べたいな。という感情が湧いてきますよね。
でも、介護食は見た目はほぼ一緒。
違うのは色と、お皿くらいです。
そして、何か分からないドロドロの食事を食べるのは、ちょっと勇気がいりました。
ものすごく辛いかもしれないし、
嫌いな食べ物が入ってるかもしれないし、
塩味と思ったら甘いかもしれないし。
メニューを分かっていたらまだ抵抗ないと思いますが、中身を知らないとそんな感情が湧きました。
母と流動食を食べながら出た言葉は、
これ、なに?
魚?
肉?
あ、これは野菜かな?
これ後味悪い。苦すぎ。腐ってるの?もう無理…←あとで調べたらゴーヤの苦味だった
何か分からないものを食べるのは恐ろしい…
うちの祖父はほとんど目を開けなくなったので、見えない食べ物を口に入れてもらうのも怖いと思います。
よくわからない食べ物を黙々と祖父の口に入れてしまった行動、反省。
2.歯を使わないと食べ物の美味しさ半減
94歳の祖父は、歯が4-5本しかありません。
80歳のときは全部自分の歯ということで表彰されたんですが、歯周病になるとボロボロになって歯が抜けちゃうようです。悲しい。
なので、歯のないじいちゃんはどうやって食べているか?を考えるため、歯を使わずに流動食を食べました。
結果、歯を使わないと味が分かりませんでした。
歯とは食べ物を噛み砕く役割を担っています。
しかし、それを動かさずに舌しか使えないとなると、味覚を感じる能力が弱まるのか、味の感じ方が半分になった気がしました。
3.全部形状が同じなので飽きる
祖父の介護職は、健康的な人が食べる食事をミキサーで砕いてあります。全部で5種類くらい。
しかし、形状は全て同じ。
ドロドロです。
ドロドロな食事ばかり食べるのってかなり飽きました。
祖父は歯がないし、飲み込む力が弱っているので仕方ないんですが。
水を飲みたくても、水もドロドロ。
お茶もドロドロ。
ま、全部食べた後に水道水を飲んでしまいましたよね…
ただの水道水でしたが、おいしかったです。。。
ちなみにお茶ゼリーは苦味があったので、2口でギブアップして水を飲みました。。。
結論:
介護食(流動食)は、正直なところ健康な私たちには食べられたもんじゃありません。
介護職をできるだけ美味しく食べてもらうために注意したいこと
圧倒的にまずかった介護食…
歯のない祖父にできるだけ美味しく食べてもらうにはどうすればよいか、考えました。
1.メニューを見てから食べさせる
まず、私たちが食べるにあたり不安に思ったことは「流動食は、形がなく何かわからない」ということ。
口に入れるだけで抵抗があったので、メニューを分かっておくことは必須かなと思いました。
食べさせるときは、
「これは鶏の照り焼きだよ〜」とか
「鯖の味噌煮、食べて〜」とか言うだけで介護される方も安心です。
まあ、鶏とか鯖に加えて添え物の野菜も混ぜてドロドロにしてあるので、肉の味だけを強く感じるということはありませんでしたが…
2.味見してから食べさせる
この食事を食べさせる前に1品得体のしれないものがあったので、先に味見してみました。
すると、それは「高菜の和え物」でした。
高菜ってかなり辛いですよね。
こんな辛いものを単品で食べさせるのはNGだし(おかゆに混ぜるならまだいいけど)、
ましてや腎臓の悪い人に塩分たっぷりの食事をあげるのもナンセンスです。
ご飯にちょっぴり混ぜるだけにして、あとは残しました。
食べさせる前に味見してよかったです。
3.食事介助の基本を守る
食事介助をするためには、いくつかのコツがあります。
食事介助の姿勢
- ベッドは45~70度くらいにギャッジアップする。
- 首がまっすぐになるように、枕などを使って位置を整える。
食事を食べさせるとき
- できれば、食事の前に口をマッサージするなどして刺激する。
- 主食・副食・水分を交互に口に入れる。
- 目の前の料理が何か説明して、食欲増進するように働きかける。
- 口の中のものを飲み込んだことを確認してから、次のものを口に入れる。
こういう演習は看護学校でやった気がしますが、自分の身内のこととなるとちゃんと考えますね。
体験してみることってとても大切です。
介護食を食べてみたら、健康に食事できるありがたみを知った
なかなか食べる機会のない介護食。
看護師時代に患者さんに何度も食べさせることはありました。
しかし「どんな味か知りたいので1口味見させてください」とは言えるはずもなく、月日が流れてしまいました。
今回、祖父の介護食を食べてみて、流動食はこんなに満足度が低いんだと実体験しました。
でもそれしか食べられない人には食べてもらうしかないので、介護する側が工夫しなきゃいけないですね。
そして、数種類の流動食を並べて食べた感想として、
自分の食べたいものを
自分の好きなペースで
五感を使いながら食べられる
ってことはとても幸せなことだと分かりました。
普段意識することはありませんが、私たちは食事をするときにかなりの感覚を使っています。
何を食べようか考える(寝たきりだと、出されたものを食べるしかできない)
何の食べ物か目で見る(目が悪いと見えない)
何を口に入れようか選ぶ(人からの介助が必要だと、何から食べるか自分で選べない)
口に入れて、歯ごたえを感じる(歯がないと、噛めない)
舌で味覚を感じる(歯がないと、味覚が鈍る)
匂いを感じる(味覚が鈍ると、嗅覚も鈍る)
自分のタイミングで飲み込む(誰かに介助されると、急かされる)
食事しやすい姿勢を保つ(姿勢を保てないと、食べ物を喉にひっかけるリスクが上がる)
食事を感じて、人と語り合う(感想がないと、食事の楽しみが半減する)
こういうことができるってとても幸せです。
健康な生活を送って、いつまでも食事を楽しめる自分でありたいと思いました。
食事を通して私に健康のありがたみを教えてくれたおじいちゃん、ありがとう^^
hanablo
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